ベアリング


樹脂ベアリングとは?

樹脂ベアリング
樹脂ベアリングとは、部品に樹脂を使用したベアリングのことを指し、金属のベアリングが適さない場面で使用されています。一般的な樹脂ベアリングの特長としては、軌道輪であるアウターレースと、転動体(ボール)を保持するリテーナに樹脂材を採用していることが多いです。ベアリングは引き戸などを軽く、滑らかに動かし易くするための部品ですが、金属ベアリングと比較して、どのような違いや特長があるかご存じでしょうか。樹脂ベアリングには金属ベアリングにはないメリットも多くあります。

今回の記事では、樹脂ベアリングとは何か、そして樹脂ベアリングを使用するメリットとデメリットについて解説します。


樹脂ベアリングとは?

樹脂ベアリング構成部品
樹脂ベアリングには、すべての部品が樹脂製のものもありますが、一部のみ樹脂製のものもあります。TOKのスタンダード製品として製造している樹脂ベアリングの構成の多くは、樹脂製のアウターレースとリテーナ、金属製のインナーレースとボール、そしてグリースです。一般的によく目にする金属ベアリングは金属部品で構成され、アウターレースの外周は平らな形状が多いですが、樹脂ベアリングは形状を幅広く選択できる点が特徴的です。また、金属ベアリングでは腐食しやすい環境には、耐薬品性のある材質のベアリングを使用する等、使用用途に合わせて材質を変更することができるところも特長です。

樹脂ベアリングを使用するメリットは?

ベアリング形状
樹脂ベアリングを使用する主なメリットは以下の通りです。

・用途に合わせて柔軟な選択がしやすい
形状は、樹脂の特性を生かし、金型や切削加工で好きなサイズ・形状のベアリングを製造出来ます。TOKでは、スタンダード製品として6種類のアウターレース形状と3種類のインナーレースをご用意しております。例えば、V溝レールで使用される時はアウターレースがDO形状のアウターレースがおすすめです。
材質も使用環境に合わせて選択することが出来ます。薬液中で使用する場合は、金属よりも腐食しづらい為、耐薬品性のあるPE材やPEEK材を使用したベアリングがおすすめです。低温環境であれば、各部品の線収縮率を考慮して設計された、ご使用環境に適切なクリアランスのベアリングを選択することが出来ます。
また、回転精度及び耐久性能が必要な場合には、スチールベアリングをインサート成形した樹脂巻きのベアリングを選択することで、樹脂のメリットと金属のメリットの両方を得られます。
ご使用条件によって適する材質は異なる為、特殊環境の場合は試作品での実機確認が必要となります。

TOKでは、樹脂ベアリングの各部品を共通化出来るよう設計している為、柔軟にカスタムすることが出来ます。カタログにない製品でも、ご希望の部品を組み合わせることで、短納期でコストをかけずに生産することができます。

・相手材を傷つけづらい
樹脂は金属よりも軽量であることから、樹脂ベアリングが回転する際の動きは金属ベアリングよりも軽くなります。その為、軽いものを搬送しても滑りが発生せずにしっかりと転がります。ベアリングが走行する面が樹脂よりも硬度のある金属などであれば、ベアリング外周が摩耗することで走行面は傷が付きにくくなります。また、TOKのDシリーズで使用されているPOM等の樹脂は自己潤滑性があり、より相手材を傷つけにくくなります。

・走行音の静音性が高い
金属ベアリングが金属製のレール上を走行すると、金属同士でぶつかり合って大きな音が発生してしまい、屋内の静かな環境で使用する場合は適さないことがあります。樹脂ベアリングであれば、アウターレースが樹脂製の為、金属とぶつかっても大きな音は発生せず、製品の静音性を高めることが出来ます。


樹脂ベアリングを使用するデメリットは?

ラジアル荷重・アキシアル荷重
樹脂ベアリングは適正な荷重方向で使用することが重要です。ベアリングの軸に対して垂直方向にかかる荷重をラジアル荷重、軸と同じ方向にかかる荷重のことをアキシアル荷重と言います。それぞれの荷重方向に適するベアリングを使用する必要がありますが、適正な荷重方向で使用しなかった場合、耐久性に影響が出て破損に繋がる可能性があります。また、樹脂は金属よりも耐荷重が小さい為、衝撃や過大な荷重を避ける必要があります。樹脂ベアリングを使用する際は、ご使用される製品の仕様をよくご確認ください。

樹脂ベアリングとは?まとめ

TOKでは様々な用途に合わせた樹脂ベアリングを製造・販売しております。お客様の使用用途によって製品を選定し、スタンダード製品にない場合は、部品組み換えや特注品のご提案もさせて頂きます。

ご希望される性能やご予算、使用用途に合わせて設計・検討致しますので、
こちらのフォームからぜひお問合せ下さい。